ホーム陸上競技>ニュース

〜伝えたい一瞬がある〜 
関東学生陸上競技対抗選手権大会 前半戦/陸上競技部

5月17、18日の両日、関東学生陸上競技対抗選手権大会(以下関カレ)の第1週が、国立競技場で開催された。2週間に渡って各校がしのぎを削る総力戦。その前半戦2日間は天候にも恵まれ、好パフォーマンスが続々と飛び出した。今回は本編集部が捉えた、選手達の熱い一瞬が凝縮された一枚一枚の写真をもとに、前半戦を振り返りたいと思う。

【撮影・キャプション 雨宮梓  著 長尾暁】

 

 
  鈴木の歩きは速さとは違う“なにか”を感じさせる。照りつける太陽に吹き上がる汗。それでもズンズンと突き進む姿には『強さ』という表現の方がしっくりくるのではないか。 それにしても構図といい、色合いやピントといい、ベストショット(笑)
※クリックすると大きい写真で見れます

■男子一万㍍競歩決勝 鈴木雄介(スポ3)

18日、13時50分。太陽が最も高く昇る時間帯を前に、鈴木の闘いが始まった。男子一部、二部が同時に行われるこの種目。暑さとともに、各校の応援合戦のボルテージもピークを迎えた。国立全体が揺れるような大歓声の中、飛び出したのは鈴木、藤澤(山梨学大)、岡村(東洋大)の三者。一週目ですでに、後続集団とは30m近い差が開いていた。千㍍を4分かからない超ハイペースで刻んでいく鈴木。追いかける2人の顔に、次第に滲みだす疲労の色。2千㍍を過ぎたところで、岡村が早くも遅れ始めた。藤澤も必死に食い下がるが体に切れがなく、鈴木との差も次第に広がっていった。

スタートから10分が経つ頃には、レースはすでに決まっていた。心地よく、次々と周回遅れのランナーを抜き去っていく鈴木。額に流れる汗、躍動する筋肉。勝負が決まってもなお、決してレースを楽に進める素振りは見せなかった。己との長い闘いの末、3位の岡村までも周回遅れにし、40分04秒85で1着を勝ち取った。

 

 

 

 
 

離陸直前の1枚。長身がするりとバーを抜ける一連の流れは優雅そのもの。しかしその一瞬を取り出してみると、細いが引き締まった身体、気合の入った表情が何とも力強い。
ギャップを感じてもらいたい、そんな一枚。
※クリックすると大きい写真で見れます

■男子走り高跳決勝 小野田学登(スポ1)

17日、11時00分。今大会一つ目の決勝種目、男子走り高跳決勝が静かに幕を開けた。トラックでは、号砲とともに次々と予選種目が展開していく1日目。フィールドの片隅で静かに、そして黙々と越えられていくバー。スタートの号砲もなければ、一目で順位が決まる訳でもない、寡黙な種目。それだけの極限の集中力が、一本のバーを越えるためだけに要求される。2m00からのスタートだが、小野田は身長よりもゆうに高いこの高さを、一発でクリア。試技数が大きく勝負を左右する種目だけに、この時点ですでにベスト8進出の可能性が出てきた。しかし、圧巻はこの後。なんと、次の2m05も一発で越え、ベスト3圏内に一気に躍り出た。勝負の三跳目、バーの高さは2m10。1回目、着実な助走から小野田の長身が空を切り、高く浮き上がった。しかし、無情にもバーは落下した。続いての2回目のトライも失敗。後がなくなった小野田だが、落ち着いていた。運命の3回目、淀みない助走から再び宙を舞う長身。バーは音もなく、静かに沈黙を保っていた。

四跳目の2m15は、六人いた挑戦者全員がバーを越えられず、今回の関カレ一人目の種目覇者は2m10を一発でクリアした石引(日大)となった。小野田は試技数で3位に入り、ルーキーながら関東の3本指に入る大健闘を見せた。

 

 

 
 

夕日とともに小野が沈んだ。なんというか、ここまで辛そうな表情ができる人も珍しいのではないだろうか。再起を誓う小野の背中にはこの先のレースでも相当なプレッシャーが掛かってくるはずだ。今度は是非とも笑顔を撮りたいと思う。小野の奮起に期待だ。
※クリックすると大きい写真で見れます

■男子一万㍍決勝 小野裕幸(スポ4)

18日、17時05分。昨年度の関カレで圧巻のスパートを見せ、この種目で2着に入った小野裕幸が、再び国立での死線に挑んだ。レースは1周目からモグス(山梨学大)、ダニエル(日大)が飛び出し、小野は第二集団を牽引。昨年度の駅伝シーズンの主役達がずらりと小野の後ろに並んだ。森賢大(日体大)や宇賀地(駒大)などと先頭を入れ替わりながらも、常に集団前方から積極的に攻めた小野。しかし、残り二千㍍付近から小野の表情が険しくなり、走りからも切れが薄らぎ始めた。持ち前の粘りで食らいつくが、ラスト2周のスパート合戦にはついていけず、苦しみながら29分02秒28で9着フィニッシュ。ベスト8入りを逃し、悔しそうな表情を浮かべたまま、トラックを去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

どうしてもレンズが向いてしまう。会場全体もそれは同じだった。それは単純に速かったからなのか、金丸が放つスター性からなのか。とにかく鍛え抜かれた肢体が躍動する、とても印象的な一瞬をとらえた一枚。

■番外編 男子四百㍍決勝 金丸祐三(法大)

17日、12時05分。金丸が再び輝きを取り戻した。高校時代、3年時には千葉インターハイの四百㍍で大会記録での圧勝。ヘルシンキでの世界陸上にも出場し、4×400mリレーの一走も務めた。しかし、法大入学後は奮わず、昨年の大阪世界陸上でもレース途中に肉離れを起こし、途中棄権に終わった。昨年の悲劇から立ち直り、満を持して挑んだ今季。そしてこの関カレ決勝。45秒47の大会記録で、2着以下に1秒以上の差をつけての圧勝。間近に控える北京五輪では、高野進(元東海大TC)以来の世界大会での8強入りにも期待が高まる。

 

 

 

以上、関カレ前半戦の〝一瞬〟をご覧いただいたが、読者の皆様に少しでも選手達の〝熱い思い〟が伝わっただろうか。しかし、何よりも実際に競技場に足を運んでみてほしい。写真でも伝えきれない生の感動を、是非体感してほしい。

■関カレレポート | 前半戦 | 後半戦

[2008年5月30日更新]